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さて、今夜は久しぶりのウケムケ図書室へのご案内ですよー。
今回取り上げるこの本は、タイトルそのものズバリ、科学系読み物です。
まずはこの画像をご覧頂きましょう。


なんだと思います・・?惑星の軌道のような。デッサンのような。
これは、素粒子たちの動いた軌跡をカメラで記録したものなんです。

泡箱という装置を使って撮影されるそうですが、まあ詳しいことは各自調べてみましょう!僕は分かりません笑
一切の音のない静寂な空間で起こっている、法則に従って動き続けるもの。ヒトの目には見えませんが、地球中、宇宙中、どこの場所でもこんな感じに粒子がぶつかったりはね返ったりしているそうな。
素粒子が何かと聞かれても答えられませんが、これを見たとき、ちょっと感動したんですよね。美しいと思いました。

自然界に存在する物や現象、科学者たちは仮説を立てたり測定したりして世界を記録してきました。
シビアなその立場は、美しいなんていう主観的な言葉とは対極にあるもののようですが、極限まで無駄な要素を削った理論と実証のための装置は、上の画像のような美学があるんですよね。
「世界でもっとも美しい10の科学実験」、この本は誰でも知っているピサの斜塔の実験や電子の量子干渉まで(・・?)人類史に残る実験の色々を、美しいという視点から記した一冊なのであります!

科学の本といってもジャンルは様々。科学者の人となりやエピソードなどがふんだんに取り上げられているので、この本は物語としても読みやすいんですよ。
それまでになかった考え方を出来る人たちですから、奇妙なのはあたりまえ。天才と変人は紙一重、というか一緒じゃないのか・・?なんて思ってしまう魅力的な人物像に、ページがどんどん進みます。

以前にもフーコーの振り子のことをちょっと書いたことがありましたが、それの話もありますよん!
この実験は本気ですべての人に見て欲しい。それくらい衝撃的です。
外的影響を出来るだけ取り除くために実験装置から遠く離れて、望遠鏡で観察したキャヴェンディッシュの話も素晴らしい。
オススメ。


世界でもっとも美しい10の科学実験

タイトルからしてきてます。しかもね、哲学書とか心理学のコーナーで出会ったんですよ。真面目な背表紙が並ぶ中でこの強烈なインパクト。
本屋で見かけたときの期待感といったらもう・・!即買いしましたが本当にお勧めの一冊です。
無人島に漂着するとき持っていたい本ベスト3に入るレベル。


精神科医としての立場から書き記した本、「引き裂かれた自己」によって華々しく(僕の前に)現れたR・D・レイン。通称レイン様です。
引き裂かれたーのほうは、副題に実存的研究なんて言葉があるように、医学者としての立場を明確して対象から距離を置いて観察している感じがしますが、
この本に至っては、色とりどりの水の中にドボーーーンと潜って、水面越しに見た世界を描写している、といったところなんですよ。
詩のような形態ではありますが、前出の著作によりそれは飽くまでも、その形態を選択しただけであるように思います。
もくじですらこうです!
16君の声が聞こえないんだ
17むつかしいもんだな
18やめて こんなこと
19どれもこれもみんなどこから来たのかしら?

・・・それではこの中から、「やめて こんなこと」をご紹介いたしましょう。


彼女  やめて こんなこと
彼    きみこそ やめろよ こんなこと
彼女  してもいないことをやめるなんて できないわよ
彼    きみがはじめたんだぜ こんなこと
彼女  そしてあなたこそ やめてよ こんなこと
彼    してもいないことをやめるなんて できないよ
彼女  そういうことをぬけぬけとやってのけようと思っているのね あなたは
彼    ぬけぬけとやってのけるって なにをさ?
彼女  こんどこそ のたくって逃げだすわけにはいかなくてよ
彼    のたくって逃げるって なにからさ?
彼女  ばかのまねしてごまかしたりしないで
彼    そんなことなんか なにもしてはいないよ
彼女  おしまいにして こんなこと
彼    はじめからやっていないよ
彼女  打ち切りにして
彼    打ち切るって なにをさ 
彼女  やめてくださらない こんなこと?
彼    やめるって なにをさ
彼女  あれよ
彼    なにさ?
彼女  なにもかもちゃんと知ってるくせに
彼    どうやらぼくは知らないんじゃないかなあ
彼女  どうやら私は知らないんじゃないかしら
彼    もう眠ることにするよ
彼女  あなたは一度だって目がさめたことがないのよ



と、こんな調子で掴めそうでつかめない、なんとも表し難い言葉が並んでいるのです。
あるとき某作家さんが風に揺れるレースのカーテンが描かれた自作を前に言っていました。
「なぜこれを描いたのかというと、ただこんな気持ちだったからだ」
作品の良し悪しはさておき、なるほどこんな気持ちを伝えたかったのかぁ・・と変に関心しました。
目の前にある作品が直接的に、具体的に何かのメッセージであって欲しいという欲求を無意識に持っていたんですよね。
なんだか、こんな気分。その気持ちそのままを表してみて、受け取ってみる。そういう方法もあるんだなあと思ったものです。
レイン様の文章も、そんな感じで受け入れるものなのかも知れません。


ちなみに結ぼれという本も出版されていますが、よりハードに突き進んでいます。だんぜんこちらのほうが面白いです!
タイトルにもなっている好き?好き?大好き?はもちろん、寓話という作品も素晴らしい。ぜひ一度読んでみてください。未知なる世界が待っていますよ・・  
好き? 好き? 大好き?
やあこんばんは。ウケンムケンです。
今夜は新企画!ウケムケ図書室がスタートしますよー。
姿勢を正したくなるような感動をくれる本、思わずギャフンとなる美しい理論を見れる本。
よい本は沢山の疑問と、その答えを探す方法を教えてくれます。
読書の時間がない?電車の中や布団の中、お風呂の中や渋滞している車の中・・。そう、時間は作るものですよん!

記念すべき第一回目はこれにしましょう!ルーマーゴッテン作、ねずみ女房です。


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日々の雑多な仕事に追われて忙しく生きている、ごく平凡な一匹のねずみが主人公。
{このねずみは、ほかのめすねずみのすることを、みな、しました。}
というだけあって、巣をつくり、たべものを集め、ほかのねずみと遊ぶ。見かけも仕事も他のねずみと同じです。

それでもこのねずみは他と違うとゴッテンさんは書く。
{めすねずみには、何がほしいのかわかりませんでした。でも、まだ、いまもっていない、何かが、ほしかったのです。}
住んでいた家を全世界だと思いつつも、窓辺に登って外の景色を見る。
季節が変わるごとに変化するその様子を、何なのか分からないけれど、ひげをガラスに押し付けて見ていたといいます。

このねずみにはだんなさんがいました。
「これいじょう、何がほしいというんだな?」
「おれはチーズのことを考える」、「おまえも、どうしてチーズのことを考えておられんのかね?」

そんなある日、住んでいた家にきじばとがやってきます。
それは森でつかまえられたもので、金色のおさら付きの金ぴかの鳥かごに入れられて居間に飾られました。
はとは低くて静かな声で、窓の外の世界の話、そして飛ぶということをめすねずみに教えてくれたのでした。

赤ん坊が産まれたりしていっそう忙しくなっためすねずみは、久しぶりにはとのもとを訪れ、ながい間、一緒にいました。
はとのキスと、ねずみの涙。
そしてその夜、めすねずみは閉じ込められたはとを逃がすのでした。

窓の外へ飛び出したその姿をみてめすねずみは思います。
「ああ、あれが飛ぶということなんだわ。これでわかった。」

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この本の素晴らしいところは、うまく掴めない気持ちを言葉にできているところだと思います。
おすねずみの主張も間違ってはいないし、めすねずみの行動も共感できる。
頭では分かっているけど、こころはもやっとした場所にある。でもその中に光っている、間違いないと思える部分、それがめすねずみの場合は、はとを逃がすことだったんだと思うんですよね。
それともう一つ、僕の好きな部分は
{めすねずみは、ねずみ流にしか考えられませんでしたが、はとの気もちは、わかりました}
という箇所です。
たしかにそうだ。誰かの気持ちを推し量るとき、それはあくまでも自分流なんだよなー。

長々と書き連ねましたが、この本は僕の一番のおすすめなんですよ。そのくせどこが良いのかうまく説明できない・・
感情の根元のほうに語りかけてくる物語な気がします。近すぎて見えづらいんだといえましょう。
手元にある日本版では初版は1977年。30年以上読み継がれている名作です!