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久しぶりに宮沢賢治の代表作、銀河鉄道の夜を読み返しました。
主人公ジョバンニが、透明な硝子のような緊張感と不安に包まれていた日々の中で、ある日、つかの間に見る夢。
夜の鉄道の、その青いびろうどの腰掛の向かいに居たのは親友のカムパネルラで、二人一緒に途中乗車の乗客たちの物語に触れるのです。
物語の核心部分で次の一節があります。

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「けれどもほんとうのさいわいは一体何だろう」ジョバンニが云いました。
「僕わからない」カムパネルラがぼんやり云いました。

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溺れた友人を助けるために川に入ったカムパネルラは、宮沢賢治自身にも被って見えます。
終わりのない夢のような情景の中にある、賢治がこう生きたいと考えた少年たちの姿。
そして天上にいるというカムパネルラのお母さんや臥せっているジョバンニの母、漁に行ったまま予定を過ぎても帰ってこない父。
「もう駄目です。落ちてから四十五分たちましたから。」ときっぱりというカムパネルラの父親なんて、まるで戸棚の奥にしまってあった標本を見てしまったような、恐ろしささえ感じさせます。

銀河鉄道の夜という作品は原稿に空白部分があって、未完成という状態です。
未完ということも相まって、賢治すらも見通せないほど大きく、実体がつかめないけれど確かにそこにある何かが描かれているように思えるのです。



そんな奇妙なリアリズムとファンタジーの結晶といえる銀河鉄道の夜。
この作品をテーマに、かたちにしようと思ったものの、気になる場所が多すぎて、どこを掴めばいいのか分からないまま時間が過ぎていきました。
何度も読み返すうち、強い印象ではないけれど、ジョバンニとカムパネルラが二人の世界を信じているように思えてくる箇所が胸に留まるようになりました。


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カムパネルラが河原で指で砂をきしきしさせながら夢のように、「この砂はみんな水晶だ。中で小さな火が燃えている」と云い、
ジョバンニは走ってその渚に行って、水に手をひたしました。
けれどもあやしいその銀河の水は、水素よりももっとすきとおっていたのです。
それでもたしかに流れていたことは、二人の手首の、水にひたったとこが、少し水銀いろに浮いたように見え、その手首にぶっつかってできた波は、うつくしい燐光をあげて、ちらちらと燃えるように見えたのでもわかりました。

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謎は謎のまま味わうことにしました。
小さな鉱物の輝きのような、銀河鉄道の夜のイメージの指輪です。






春の鴨川でなずなを見付けてから、少しずつ進めていたブローチがやっと仕上がりました。



なずなは可愛らしくも複雑で面白いかたちをしています。
摘んで帰ると小さな植物はすぐに元気がなくなってしまうので、じっくり見られる時間は意外と少ない・・。



いろんな場所でなずなを見付けては、成長と共に変わるかたちに感心していました。



丸い太鼓のようだった種子の部分は、花が咲くころにはちいさなハートのかたちになる。









飾らない美しさは、シンプルにすることで伝わるものだと思います。





金具も無駄のない造形で、なおかつ針先をロックできるタイプを使っています。










何十億光年も離れた宇宙の彼方や、見えないほど小さな世界で起こる現象を説明できるのは、そこに物理的法則があるからだそうです。



私たちが見ている日常も、それを通す目にある結晶体も脳の中に広がるニューロンの微かなきらめきも。



それは掴むことのできるわずかな手がかりに秘められた、宇宙の共通言語のようです。



圧力をかけて割れたガラスの断面には、一瞬の間に起こった途方もない物語が残されているように思います。



その痕跡をできるだけ消さないように、身に付けられるものとして仕立てました。



誰も読むことのできないくらい長く綴られた法則の、小さな断片として。





黄色い花を見つけました。
指先ほどの小さな花です。



気になってよく見ていると、川の土手や田んぼの脇にたくさん咲いている。
やわらかい光を浴びて、小さな太陽のようです。



持ち帰ってじっくり観察すると、素敵に可愛らしい。
繊細なかたちは、完結した小さな世界そのもの。



この感動的な造形を、アクセサリーとして作ることにしました。



一般的に手に入る道具では作れないディティールを追うために、医療用メスをノコギリ状にして制作しました。



出会ってからかなりの時間が過ぎ、もう花は見られなくなりましたが、ようやく完成しました。






道すがら見つけた花を、そのまま身に着けたようなイメージです。



小さな花は、光が弱くなるとすぐに閉じてしまいます。
下を向いていても、花が咲いているのを見付ければ、晴れた空が分かるということが印象的でした。




通常のポストのタイプも制作しました。
こちらはk18メッキ。



銀色のロジウムメッキのタイプもあります!
中央にはスワロが光っています。

今回モチーフにしたのは、コオニタビラコという植物です。
春の七草にも入っているそうで、食べられるというのもいいですね笑 とことん無害で。まるで小鳥。
良く似た植物でオニタビラコもありますが、造形としてはこちらのほうがカワイイです!



ドリーミーでいてシャープなデザインが美しいと好評の(自分で言う笑)星座のシリーズ。
ピアスは表面処理が三種類ございます。
結構分かりにくいので、一覧にしました。


まずはこちらです。一番人気がある、K18メッキのタイプ。
鏡面に近い感じに仕上げていますので、線の部分もキラリとしています。
ちなみにウケンムケンのメッキは、金属アレルギーの原因物質とされるニッケルを含まないタイプです。

安価なアクセサリーでは金メッキの下地にニッケルを使っている物もあるようです。
ニッケル下地にすると金メッキの食いつきや強度も上がるので作る側としては利点もあるのですが、
着用される側に立って長い目で見れば、安全のためにニッケルフリーにするべきです。

お手入れは流水で汗を流し、ティッシュでトントンと優しく水分を取り、完全に乾かしてから保管すると安心です。
メッキの場合でも厳密にいうとミクロン単位では下地の真鍮が空気に触れているので、ジップロックなどで密閉すると完璧です。
(水分が残っていると逆に最悪なのでご注意!)
そして一番大事なことは、研磨剤入りの磨き布を使わないこと!メッキが剥げてしまいます。


次はこちら。シルバーのような白い色味のロジウムメッキです。
上のk18メッキと同じように、鏡面に研磨してからメッキ加工しています。

ロジウムメッキはホワイトゴールドの結婚指輪にも施されることが多い、摩耗しにくい硬さを持っています。
メッキすることで商品の強度も上がるという利点もあります。
白系のメッキですが、シルバーのような柔らかい白ではなくて、隣に並べてみると少しアンダーな白の色味です。
薄墨で描いた雪景色という感じです(ますます分かりにくい?笑)
お手入れはK18メッキと同じです。


こちらがメッキなしの、真鍮仕上げです。
ピアスポストと、キャッチはシルバー925です。
画像では出来立ての状態なので比較的きれいですが、
真鍮の性質上、汗や空気に含まれる物質と反応してマットな、アンティークな色味、アンダーな方向に変化していきます。
金属の色自体が金色なので、磨くとツヤは戻りますが、またすぐにマットになります。
この変化は表面を空気から遮断しないと止められませんので、お手入れしながら使う素材となります。
ジュエリー用の研磨剤入りのクロスで磨くと、ワックス分が残りますのでコーティング状態になり、比較的使いやすいようです。

お手入れとしてはメッキと同じですが、真鍮生地のこちらは研磨剤入りのクロスが使えます。


いかがでしたか?話すと長くなるそれぞれの仕上げです。
どの仕上げもそれぞれ一長一短ありますが、使いやすいのはメッキかなーと思います。
でも、どんなに丁寧にお使いいただいても表面のコーティングである以上、いつかメッキは薄くなり、下地の真鍮が出てきます。
ウケンムケンの商品はどれも再メッキが可能です。お気に入りの皮ジャンを直しながら着るバイカーのように、ガンガン使ってもらえると嬉しいです!